記   録

■「第15回 若い失語症者のつどい」(東京版)
日 時 : 2002年11月23日
               12時〜16時30分
会 場 :  かんぽ浅草ビル6階 貸会議室 C室
               東京都台東区西浅草1−1−1


 首都圏で15回目の「若い失語症者のつどい」(東京版)が、かんぽ浅草ビルで行われました。
参加者は失語症者35名(男性24名・女性11名)、ご家族21名、その他の方が18名の総勢74名。
なかまたさん表紙作成
失語症者の内、東京版つどいに初参加の方は9名。山梨つどい実行委員長の方も応援にいらっしゃり、新たな出会いに恵ませたつどいとなりました。

 当日のプログラムは、
1.自己紹介(氏名、年齢、障害を負った時期、原因、後遺症、近況など)
2.全員での話し合い
 テーマ ”成長”

 司会は、タケシさんでした。

1.自己紹介から抜粋
 ・現在職務中、一年契約で、毎年更新されるかヒヤヒヤです。
  常に向上心を持っていたい。パソコンも覚えている最中です。
 ・先日、スポーツセンターでシチュ−、ピラフ、サラダを作りました。
 ・将来は病院で働きたいです。車の免許も勉強中です。
 ・記憶障害のことを職場で言ったら怒られました。
 ・専門学校の試験に合格しました。4月からはまた学生です。
 ・言葉に悩まされていますが、
  あせらず、怒らず、あきらめず、考えながらしゃべるようになりました。
 ・自信が無いけれど、がんばってきました。テニスもスキーも行きます。
 ・趣味は音楽です。
  (どんな音楽ですか?ブラックですか?)オーイェー!

2.全員での話し合い
 テーマ:成長(抜粋)
 ・まじめな性格を持っていれば誰かが認めてくれると思います。
  成長=進歩と私は思います。
 ・発症した学生時代と、今の自分に手紙を書くように
  つどいの文章を書いています。
  同じような境遇にある人と、体験を分かち合いたい。
 ・今年の目標は「自ら進んで人と会話するようになる」でした。
  続けたところ、言葉が増えたように思います。
 ・まだ、発症して一年たっていないのに、
  11月に友達と電話で話ができました。
 ・今年になってから言語訓練を多くして休まず続けています。
  これが成長につながれば良いと思います。

 今回は、35名もの若い失語症者が集まりました。
会場は皆さんの熱気であふれんばかりで、冬の寒さも吹き飛ぶ1日となりました。
初参加の方の「こんなに仲間がいたんだね」という驚きの言葉が印象的です。着実に仲間が増えています。
 春からは、つどいも新体制になります。ますます、仲間作りを発展させたいですね。

 次回は、2003年2月1日(土)、司会はKさんです。
また、皆様にお会いできる日を楽しみにしています。

準備委員会:ケロさん、黒澤さん、Sさん、
        中嶋さん、タケシさん、林健二郎
二次会会場:てんてん
記録の表紙担当:なかまたさん
記録:相馬肖美

◆第15回つどいをおえて◆

   病気や外傷から時間的な経過が経っている人ほど内的、精神的な「成長」が大きいということに興味を持った。この厄介な失語症というものほど人間を精神的に目覚めさせるものはないのではないか?
程度差こそあれ、失語症者は症状と共に生きてゆく。葛藤、苦悩、さまざまな悲しみ、寂しさの中でそれを越えてゆく何かを意識的に探すのかもしれない。
絶えず道を求め、絶えず反省し、絶えず挑戦し、絶えずあえぎ、絶えず試行する失語症。この過程が「成長」だといわずに何だといえるが?

 今回の会で「目覚め」、「気づき」ということに関心を持った。失語症になってまだ間もない人は「歩けるようになった」、「右腕が上がるようになった」など外見的変化で成長を捉える。 一方、ベテランは上に書いたように内的、精神的立場に立って成長を位置づけている。両者の間、その中間の人はどうであろう。その人は会で「成長は・・・ありません。」と言った。 残念ながら、以前の著しい成長・外見的変化がとまったのであろう。こうゆう人こそ「目覚め」、「気づき」が必要ではないか?自分と言う存在に気づき、つまり意識し、自己認識を深め、高めていく。これはベテランも必ず通過してきた道である。

 あきらめてはいけない。あきらめてはならないのである。失われた何かを嘆くより新たな可能性を探していこう。泣きながら。それが見つかったとき虹ができるのではないか。 苦しむこと、悲しむことが多く激しい人ほど歓びは深く大きい。
2002.11.29 (呼びかけ人 林 健二郎)
前のページ 記録メニューへ 次のページ